皆様、おはようございます。
私、誕生日がクリスマスイブでございまして、本日で47歳となりました。
3人兄弟の末っ子だったこともあり、小さい頃は、甘やかされて育った、世間知らずな人間だったと思います。
ですが、大学で東京に出てきて、親の猛反対を押し切って、民間企業の富士通に就職、そこでIT分野での海外営業を経験する中で、米国企業の経営のレベルの高さを知る事になります。
色々な経緯がありまして、今は、イノーバを創業して早11年。途中、3-4回ほど会社存続の危機を迎えてましたが、その度に、社員のみんな、投資家の皆様、お客様、友人の皆様などに支えてもらって、なんとか会社を利益体質、成長軌道に乗せることが出来つつあります。(まだまだ不十分とは思いますが。。。)改めてこれまで支えて頂いた皆様の心よりお礼を申し上げたいと思っております。

最近、イノーバは、人柄のいい会社だね、と言われることが良くあります。クライアントから、色々な相談をもらった時に、チームで相談したり、上司で相談したりして、ご相談に真摯に向き合うことを、社員一人一人が行ってくれているからではないかなと思っています。
以前に、「ぼっちマーケター」に関する記事を書いた事がありまして、これが意外に読まれてびっくりしましたが、日本の会社には、マーケティング職という職能が生まれてまだ歴史が浅いです。伝統的には、BtoC企業には宣伝部がありマス広告を運用する、BtoB企業には広報部があり展示会に出す、これが過去のマーケティングの状態でした。
私のウォートンの大先輩でもあり、今は、日産の専務をされている遠藤淳一さんとお話をした際に、ウォートンで米国流のマーケティングを学んで、日本に当てはめようと当初思ったのだけど、日本は米国と違って所得や文化が均質でメディアも少なく、そのまま通用しなかったという話をお伺いしました。結局、テレビでどう刺さるクリエイティブを作るかの勝負になるのだと。
なるほどと思いました。
先日、某総合電機系の技術系の方にお会いする事があり、うちは大企業なのですけど、「デジマ」って合うんですかね?って聞かれました。どうやら、「デジマ」=「ネット広告」、「オンランカンファレンス」というイメージを持っているようです。(ちなみに、私は、デジマと略して呼ぶのが大嫌いです。)
私は、この方のお話を聞いた時に、正直、頭がクラクラしました。
営業が要らない会社はこの世に存在しないのと同義で、マーケティングが要らない会社というのは、この世の存在しないのです。営業が強い会社と弱い会社があるように、マーケティングの上手な会社と、下手な会社があるだけなのです。そして、日本の会社のほとんどはマーケティングが下手なのです。
ザ・モデルという書籍で紹介された従来の営業機能を三つに分解する考え方、マーケ・インサイドセールス・営業の三つの部門で顧客接点を最適化する考え方、これは、僕の理解では、軍隊が、陸軍中心から海軍、そして、空軍と発展し、三軍の一体運用をするのが当たり前になったのと同じで、これは歴史的な必然なのだと思います。
また、最近、Twitterでフォローさせて頂いている外資系マーケターの方の投稿では、日米のマーケ格差の違いを生んでいるのは、顧客中心で徹底的に考えられるかどうかの違いだと指摘されていました。英語的には、Customer Obsession (顧客執着主義)という事になるかと思います。
この投稿には、かなりハッっとさせられました。
日本企業の方々とお話をしていて、常に感じるのは、みなさん、プロダクトアウト、売り手目線だなという事です。皆さん、自分の事業の話、商品やサービスの話はされるけれども、「顧客」の話をほとんどなされない。どういう方が理想の顧客なのか、どいう方に今支持してもらっているのか?そのような話が一切出ない。
逆に、競合との違いを聞くとものすごく沢山お話になられる。競合は●●だと言っているけれども、うちの製品は▲▲で、違いがあるんだと。
要するに、日本の会社は、競合を見てビジネスをしている、顧客を見ないでビジネスをしている、顧客を見るのは営業の仕事、営業が頑張ればいい、だから、「マーケはおまけ」、とそういう考えなのだと思います。
ですが、顧客を見ないというのは、戦争において、地図を見ないというのとほぼ同義ではないでしょうか?地図を広げて、どこでどう戦うのかとうのを考えれば、陸軍だけではだめだ、海軍も、空軍も欲しい、マーケもインサイドセールスも欲しい、とこうなるのではないのでしょうか?
どうやるか、HOWの議論になるのはわかるのですけど、そもそも、うちの会社にマーケが必要なのか?っていうWHYの議論になるのがどうにも理解できない。私は、意地悪く、「マーケ不要論を社内で話し合うならば、ついでに営業不要論も話し合いましょう」とこう思ってしまう。
要するに、顧客を見ていないという事なのだと思います。今まで、顧客理解をなおざりにし、競合を見ながら、そして、過去の延長線上でビジネスをしてきている会社が多いゆえに、このような発想が生まれるのだと思います。
さらに、もう一つ思う事があります。先ほど日本企業は競合を見ているといいましたが、一方で、真の意味で競合を見れていないとも思っています。国内の競合、半径100km以内の競合しか見てないのではないかと思います。
実は、今多くの日本企業が国際競争にさらされています。欧米はもちろん、中国企業などとも国際競争にさらされています。実は、こうした海外の競合の動きは、実は、日本の会社はほとんど研究されていないと感じています。せいぜい、海外部門から上がってくる報告書を読むくらいでしょうか。
日経新聞を読んで、「(海外ではなく)日本の競合他社の動き」を知り、それに対する対抗策は考えるけれども、「海外の競合、本当の競合が何を考え、どのような経営をしているか」は実は知らない。これが日本企業の現状ではないでしょうか?そしてこれを生んでいるのは、海外のビジネス情報が一切入ってこない、日本の閉鎖的なメディア環境のせいではないでしょうか?
日本は、今、帰路に立っていると思います。
今年、日本円が150円まで円安が進みました。そして、資源のほとんどを輸入に頼っている日本では、生活費が上がり、将来不安が高まっていると思います。
岸田内閣は、リスキリングでこれに答えようとしているようですが、抜本的な解決策にはなりえないと思います。
日本を良くするには、企業の稼ぐ力をアップデートする必要がある。
企業の稼ぐ力をアップデートするには、日本企業の経営のOS、これをアップデートする必要がある。
そして、これをするには、一度、視野を海外に広げて、世界で何が起きているのか、
そして、自社が何をしないといけないのかをグローバル目線で考えないといけないのではないか。
そうしないと、せっかく第二次大戦後先人たちが必死の想いで作ってきた日本の産業、雇用を守る事が出来ず、職を求めて、海外に日本人が流出していく未来が待っているのではないか、と思います。(ぜひ、一度、吉田茂と白洲次郎を描いた日本独立を見てください)
僕は、デザイナーの奥山清行さんを尊敬しているのですが、彼の主張は、「日本人は、個の力は世界レベルで見て、ものすごく高い」、「一方、組織力が低く、これが足を引っ張っている」というものです。私も、100%同感です。
実は、日本人は、世界で戦える人材なのだと思います。そういう意味では、本来、日本からグローバル企業のCEOが登場すべきですし、日本からグローバル企業のCMOが生まれないといけないのです。ですが、ご存じの通り、グローバル企業ランキングの経営者は、欧米中で占められています。
私がイノーバを創業した思いは、日本を元気にする、この一点であります。社名をイノーバ(=イノベーション)にしてるのもそういう意味であります。
ですが、正直今までのイノーバの経営の11年は、守りの経営、ビジネスモデルを固め、組織を固めるための11年だったと思います。あるいは、私が海外の動向を見ながら経営を考えるので、コンテンツマーケティングを日本に持ってくるなど、先駆者的な動きをする反面、仕掛けるのが早すぎるという問題もあったように思います。
今年は、これまでの46年間の人生経験をすべてつぎ込み、以下の実現を狙っていきたいと思います。
1 プロダクトアウトな日本企業の経営マインドを顧客中心に変える、Customer Obsession文化を日本企業の経営に根付かせていく。
2 日本企業の視野をグローバルに広げていくための取り組みを強化していく。今世界はフラットで一つであり、クリック一つで世界はつながっていることを認識してもらう。
3 日本から世界レベルの人材輩出を行うための仕掛けについて、打ち手を検討していく。
私は、日本が負け組になるのを防ぐのではなく、勝ち組になるのを実現したいと思っています。
たまたま、ネットフリックスでみたサッカーアニメ、「ブルーロック」は、日本のサッカーを世界で優勝させるために、世界一のストライカーを日本から生み出すというテーマのアニメでした。このアニメで指摘されていたのは、「優勝できなくても仕方がない」という、現状肯定のマインドセットでした。
この考え方、まさに産業界に深く、深く、病巣として根付いていると感じます。日本企業は競争力を失っている、成長できなくても仕方がない、売上が伸びない、言い訳をみんな探しているように思います。
僕は、日本人には、絶対的な信頼を置いています。本質的に、利他の心を持っていて、社会を世の中を良くしたいと思える、いい気質の人が多い、素晴らしい国だと思います。
この世界が分断に苦しみ、未来が見えない時代であるからこそ、日本人が世界で活躍して、世界に調和を取り戻し、世界の進むべき道筋を示す時なのではないでしょうか?
ということで、クリスマスイブの早朝から長い投稿にお付き合いいただきありがとうございました。ぜひ、感想いただけますと幸いです。